
『他人のどん底な経験を聞くのはいいけど、実際自分が体験するのは嫌だ』という人は多い。
どん底経験(自己破産レベル)のある私としては『この体験があったから道が切り開けた』と思えることばかり。もちろん当時はそんなことは一ミリも思えなくて、今となってはの話になるのだが(笑)
ちなみに私の周りにいる経営者でも【どん底は人生のネタ作り】と言う人がいるくらい、肯定的な解釈をしている人も多い。
ということで、今回は私自身の経験もふまえながら「どん底をチャンスに変える」というテーマで考察していく。
人生どん底の時期に起こった瀕死体験

振り返れば、私が30歳の頃が人生で最もどん底の時期だった。事業資金も底をつき、借金返済の為に複数の日雇いアルバイトをしていた頃の話。
それは、とある引っ越し作業の現場で起こる。私たちアルバイト3人は、作業を終え次の現場に向かうことになった。当時は5人のチームで引っ越しの現場を回っていたのだが、その時たまたま使えるトラックは1台しかなかった。
当然のことながら、全員が前に乗れるわけがない(運転席側のほう)。そんなわけで、社員二人が前側に乗り、私たちは、引っ越しで運び込んだ家具などがぎゅうぎゅうに詰まった荷台側に乗ることになった。
そして、トラックは次の現場に向かって走り始める。荷台の中は、真っ暗で何も見えない。「ガタンゴトン」と、タイヤが凸凹道を走り抜ける音がするだけ。
その内、私はどんどん息苦しくなっていくことに気づき始めた。『ヤバイ、苦しくなってきた』私は、一緒に乗っていた見えない二人にこう漏らした。
時は夏の真っ盛り、荷台の中は家具で埋められ、私たちには動くスペースがほとんどないくらいの状況だった。そう、私は酸欠に陥ってしまったのだ。
早く次の現場に着いてくれと願うものの、そんな様子は見えない。いよいよ、私は意識が遠退き始めた、そして体がしびれ始めたのだ。
『悪いけど、ドライバーに電話してトラックを止めてくれ!!』私は、年下で話しやすかった彼のほうに叫んだ。彼は携帯を取り出し、電話をするが『運転中で出ないっす』と言う。
もう限界は間近だった。二人は私が倒れこんでいる姿を見てこれは大変だと思ったのか荷台の中からバンバンと壁を叩いてくれた。ドライバーに異変を気づいてもらう為に。
意識が朦朧とし、仰向けになりながら、体が痙攣を起こし始めたとき、、。「ガチャ」と扉は開き、私は助かった。
もしも、あと3分ドライバーがやって来るのが遅かったら私はこの世にいなかった気がする。今でもゾッとする体験だ。
ドライバーは、急な事態に驚きを隠せなかったようだ。苦し紛れに『運転中、何か音がするから風でも吹いているのかと思った』と。察するに、かかってきた携帯も後回しにされていたに違いない。
この時、人の命など一瞬の事態でなくなってしまうものだと気が付いた。私の場合、あまりにあっけなくその灯火が消えかかりそうになったからだ。
私はこのどん底の時期の瀕死体験によって、人生はいつ終わるかわからない、という教訓を肌で感じた。そして「いつあの世に行っても後悔しない1日を送るようにしよう」と胸に誓った。
まさにどん底は人生を変えるチャンスである。
借金地獄、自己破産寸前からの復活、まさに人生どん底だった

私は先述の通り、事業で多重の借金を抱え込むことになり自己破産状態になった。
そんなときこそ誰も助けてくれなかった。借金を返すには1分でも長く働いて返すしかない、そんな状況。
あの頃は、世の中でアルバイトと呼ばれるもの50種類以上はやったであろう。その時の経験が今になって確実に生きている。
あらゆる職種を経験できたことで、自分が仕事で価値提供できるフィールドが少しずつ見えてきたのだ。「これは絶対自分には向いていない、じゃあ何だったらいいのか?」そんなことを繰り返していった。
そんな中で、肉体労働と学生さんに関わる仕事だけは絶対向いていないし、人の役にたてないことが分かった。
私はどちらかというと体格は一般男性よりも小柄で重いものを持ち上げる能力は低い、引っ越しや重量を運ぶ現場では使い物にならないのだ。
そして、学生に対しては元々極めて短気な性格なのので未成年特有のワガママ加減についていけない(笑)学生だけは絶対相手にできないと思ったものだ。
そうやって、適正や能力はない現場だったとしても一生懸命できることはやった。だからこそ、限界を知り今の自分が生かせるフィールドが開拓できたと思うのだ。
まさにどん底は人生を変えるチャンスである。
まとめ

今回は、私自身のどん底の時期に得られた教訓をシェアさせてもらった。
個人的にどん底とは、自らそうなろうとしてなるものではない。望む未来や夢にチャレンジするからこそ起こるお試しのようなものだと思う。
だから、どん底の時期にいる人もそうでない人もこう解釈するのも1つだと思うのだ。
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