
時代は「平成」から「令和」へと変わった。
かつて、テレビ文化が華やかなりし頃の「昭和(1980年代)」。若者のアイテムには「携帯電話」がなかった時代。テレビは、彼らの最大の娯楽といっても過言ではなかった。
そんな時代にお笑いの世界でかっこいい伝説を作り革命を起こした芸人がいた。それがとんねるずだった。
ということで今回は「天下を取った芸人・とんねるずの全盛期(若い頃)の成功」を考察しながら私たちの仕事へ活かせる学びを深めていく。
とんねるずが作った伝説や人気の理由は「かっこいい芸人」を演出できたこと
筆者の世代が小中学生の頃、よく見ていたバラエティー番組といえば『とんねるずのみなさんのおかげです(でした)』、『めちゃめちゃイケてる!(めちゃイケ)』、『HEY!HEY!HEY!』などであった。
筆者を含め1980年代を過ごした学生にとって、テレビは最も身近で主要な娯楽。思い出せば、昨日見た番組のネタが今日の学校の休憩時間の話題になり、知らない子供は話題に取り残されるということは日常茶飯事だったような気がする。
さて、とんねるずはなぜあれだけの成功をおさめることができたのだろうか?とふと気になり考えてみた。
まず成功した要因として、お笑いタレントという絶妙なポジションをうまく活用したこと。そして、彼ら独自の在り方(芸人であってもかっこいいスタンスを貫ける)を芸能界で示したことではないかと思う。
キャッチーなネタで笑いをとるかっこよさ
仮面ノリダーやモジモジくんといった若者の心をくすぐるキャッチーなネタ選び
既成の枠にとらわれないかっこよさ
輪島(元横綱)やジャストミート朗(フリーアナウンサー)など芸能分野以外の人たちとも積極的に絡みタレント化させてしまう
無敵感全快で物怖じをしないかっこよさ
堅苦しい佇まいのアナウンサーにドロップキックをかます、ブイブイ言わせていたアイドルをこき下ろす、触りありの単なるセクハラ(笑)等
視聴者や一般大衆を巻き込み、ムーブメントを起こすかっこよさ
スタッフを表舞台に引き上げて結成した「野猿」
これらのブランディングには、秋元康を始めとして当時のサポートチームの力もあるだろう。しかし、それだけでなく時代が完全にとんねるずの味方をしていたことも容易に想像できる。
また、1980年代にとんねるずがムーブメントを起こしたことをきっかけに『芸人だったとしてもかっこいい形で成功できる!』と影響を受けた人たちも多い。
例)くりぃむしちゅー、ロンドンブーツ1号2号、サンドウィッチマン、ナインティナイン、タカアンドトシなど
とんねるずが全盛期真っ只中だった1980年代と今ではテレビの影響力が違う


以前、浅草キッドの水道橋博士がとんねるずの全盛期についてこんなニュアンスのことを言っていたのを思い出す。
『とんねるずやダウンタウンのやったことは天下を取るというエンターテイメントの図式そのもの。俺は、彼らとは別の角度から勝負せざるを得なかった。今の時代、彼らのような向こう見ずなエネルギー、破壊力、勢いをもった芸人はいない。1989年以降、こういったムーブメントは起こっていない。』
自身が経営者として思ったのは、水道橋博士の切り口は、あくまでお笑いのプロからの視点だということ。
つまり、お笑いのプロがお笑いの世界だけを冷静に分析しているのだと感じた。これがラーメン屋の店主だったら、地元で1番人気のラーメン屋さんの味の研究をして感想を言っていることと変わらない。
私たちが忘れてはならないのは、時代はものすごい早さで日々変化しているということ。その中でも、特に消費文化は大きく変わった。
ここで、1980年代という時代背景を考えてみる。まだ、インターネットなるものが普及する前の時代だ、主要となるメディアはテレビ、ラジオ、新聞、雑誌。
現代のように、日本から最も遠い国と呼ばれるブラジル人と瞬く間に会話ができる時代ではなかった。著名な芸能人がアメブロを使ってファンに語りかけることもない。一般人からしてみれば芸能界は憧れであり謎めいていて、遥か遠くに感じる世界でもあったのではないだろうか。
ツイッターを使って、今思うところを呟くこともできない、個人なるものが情報発信する手段や機会は今に比べて限られていた時代でもあったのだ。
そんな中、突如あらわれたのが天下を取った芸人とんねるず。ここで学生時代を振り返ってみてほしい。上級生や先輩とかでこういった人たちはいなかっただろうか。いつも目立つことばかり考えていて、学校行事になると何かと舞台や前に出たがろうとする人たち。
そんな雰囲気を持つ2人コンビが、お茶の間のブラウン官の向こう側から一切物怖じせず言いたいことを言いまくっている。そして、よそゆきの声を出し体裁をつくろったゲストをここぞとばかりいじり倒す。
そんなとんねるずのスタンスに「かっこいい!」と思ったのは筆者だけではないはず。また、とんねるずは、自分達が普段思っているけど言えないという心の叫びを代弁してくれるヒーローのような存在だったからこそ人気に火がついたのではないだろうか。
このことは、一般大衆の視点を持ちながら、お笑いタレントである自覚をうまく両立させていたという見方もできる。
まとめ


1980年代は、娯楽の選択肢が現代よりも遥かに少ない時代だったといえる。ゆえに、今以上にテレビやラジオが生活に占める割合が大きかった。
仮に、もし現代に全盛期の頃のとんねるずがテレビに出現したとしたらどうだろうか?私個人としては、1980年代と同じように成功できるかどうかは疑問だ。
なぜなら、お笑いタレント自体の才能や実力の問題ではない。メディアが持つ求心力が変わってきているからだ。ぶっちゃけた話、日本のお笑い界のレベルは30年前に比べれば格段に上がっているのではないだろうか。
先述のとおり、水道橋博士は『今のお笑い界でムーブメントが起こっていないのは破壊力を持ったカリスマ芸人がいないからだ』という主旨の言及していた。
しかしながら、そこにはメディアの移り変わりという視点が抜け落ちている気がするのだ。
時の流れは顕著で、現代は1989年よりもテレビの視聴者は減り、その影響力は明らかに小さくなっている。
とんねるずが時代に合わせて成功をつかめたように、物事を多角的な視点でとらえ戦略を練っていくことが大事だと感じる。
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